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2026.02.02

森の音

2月初旬、森の音を聴きたくなり冬山へ入った。

カメラをもち、バックパックに絵の道具一式をつめこんできた。

山道に水の音がたゆまず響く。

水滴が跳ね、氷柱に光の粒が重なる。

沢の所々が凍り、美しい造形をつくりあげている。

テーブルになる、小さな切り株を見つけ折りたたみ椅子を組み立てた。

空へ伸びる杉は冷気をおびたに風に揺れ、ギシギシとリズムを刻む。

コーンクリームを流し込み、パレットを開く。

ここでしか描けない絵はなんだろう。

シジュウカラの声がツピツピと鳴る。

森の音を聴きながら、ぼんやりと思考をめぐらせた。

パレットにのった雪が目に映る。

これだ、とスケッチブックへ雪を敷く。

絵筆にたっぷり水をとり、コバルトブルーの絵具をなでる。

筆を上下に細かく振り、絵具の水滴を落とし込んでいく。

偶発的に生まれた形と色がスケッチブックに浮き上がる。

スケッチブックを目線まであげ、左右に揺らし、青く反射する光を眺めてた。

すると、次の作品タイトルが思い浮かんだ。

『森の音』だ。

クリスタルのような氷柱へ飛ぶ水滴の音、冷たい風の音、シジュウカラの歌声。木々を抜ける光や、青く輝く雪からも音が聞こえてくるようだ。

春をむかえる前の最後の森の音を、作品に落とし込んでみようと思う。

自然美はいつも、作品のヒントをわけあたえてくれる。