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2026.08.31

西表島・浦内川の旅

この10年、会いたくても会えなかった鳥がいる。

8月後半、熱帯低気圧が近づく西表島・浦内川へ3泊4日の旅にでた。

高速船が西表島の上原港に到着する頃、雨粒は暴風にのり地面に叩きつけられていた。

港の待合室のテレビでは、熱帯低気圧が台風20号へと変わるというニュースが流れている。

1日目は台風のため宿に籠る。2日目は土砂災害警報が発令されており目的地の浦内川に入れず。

3日目にようやく浦内川へ行くことができた。

マングローブ林におちる光が、水面に道を描く。

ヒルギの足元には、山と海から運ばれてきたミネラルが堆積する。

川の流れにまかせカヤックをすすめていると、後方から一羽の鳥が飛んできて、ヒルギの枝にとまった。クチバシから体まで真っ赤な鳥。6月に鮎釣りにいった奈良県の秘境でも聞いた「キョロロ」と鳴く美しい鳥。

リュウキュウアカショウビンだ。

ようやく出会えた。

リュウキュウクマゼミがマングローブ林を鳴らし、カヤックが水面を揺らす。ヒルギの濃い緑の葉。アカショウビンの優しく燃えるような赤。補色の関係にある色同士は、互いの色を引き立てあう。

時間にして5秒ほどだっただろうか。ほんの一瞬のはずが、ゆっくりと優しい時がながれていく。西表島にようこそと迎えられているような気がした。

アカショウビンは羽をふり、長く赤いクチバシを前へ伸ばし、緑の世界を駆け抜けていく。

暮らしの近くにある自然は大好きだ。暮らしから遠くにある自然も大好きだ。西表島の遠い自然は、普段みられない鮮やかな色を、ときに荒々しい無彩色の景色もみせてくれる。

最終日の朝、西表島の1本松とよんでいる場所へ向かう。

昨日までの天気とうってかわり、海面は朝日で色づいている。いい1日が始まった。

日がのぼってからはフライロッドを振った。台風一過の空と海はより自然美の彩度が上がる。

ブログを書いている今この時間も、西表島のマングローブ林のどこかでアカショウビンが飛び、朝日が海を色付け、浦内川をロウニンアジが泳いでいる。そのことを知っているだけですこし優しい気持ちになれる。